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Windy Fantastic Talk .2

「……」
 遠くから、歌声が聞こえる。正確には、遠いように感じる。広い空っぽの部屋で、ほのかに聞こえてくる音のように。

「…いーをー…しってー…」
 女性の声だろうか。重いまぶたを少しずつ開けながら、今の自分の状況を理解するために、脳が活性化し始める。

 自分は、冷たい地面に伏している。さっきまでは、落ちていた。落下していたはずだった。体はどうなってしまったのか。彼、幽斗はゆっくりと体を持ち上げるべく腕を動かしてみる。

「…こへー…ゆ…くのー…」
 うろ覚えの歌を、か細い声で歌っている。きっと自分の目の前にあるこの大木より、後ろのほうで歌っているんだろう。彼は手と膝でしっかりと地面から頭を離し、改めて周囲を確認してみる。

「うわ…」
 彼がそう呟くのも無理はない。周辺は墓地であったからだ。薄暗い、灰色の雲が辺りを一層、寒色に染め上げている。まるで色がないみたいだ。大木に手を付き体を支えながら起きる。触れた木の皮は冷たかった。

 ボロボロ、だが均等に並んでいたことが伺える墓石達。地面に突き刺さって折れている卒塔婆が、何とも気持ちが悪い。

「わ…たし…は…」
 まさかとは思ってはいないが、彼は慎重に、大木から顔だけを出して声の主を確認する。

「とお…い…まち……」
 そこには声相応に幼い、不思議な姿をした少女だった。

 濃い目の紫色で、額部分に黄色い星がついたシンプルなキャップ。そこから伸びる髪は青色、赤い服に紺に白いレースのついた広いスカートを纏う少女が、誰に聞かせるワケでもなく、ただそこに座り込み、歌を口ずさんでいるのだ。

 なかなかにシュミが悪いな。幽斗は大木から離れ、少女へと一歩ずつ近づいた。この状況の整理が必要だからだ。

「おまえの…ひと……ゆ…め…」
 どんな歌で、何が目的かは分からない、幽斗は驚かせないように、彼女の正面へと回った。

「は………」
 歌が止まった。同時に進めようとした足も止まる。

「あの…」
 話しかけるなら今か、幽斗はそう判断し、行動に移す。

「此処は、どこかわかるかな」
 少女と近い目線になるように腰を下ろし、なるべく高めの声で話す。電話に出た際の声と似たようなニュアンスだ。

 目元は青髪で隠れていて伺えないが、口は半開きになったまま。膝元に添えている両手は白く、血色は良いとは言えない。

 ここで一つ、悪い可能性を感じた。彼女に言葉が通じるかどうかだ。服装からしても、どこか日本人のような容姿には見えないからだ。歌もよく聞き取れたワケではないし、海外の人間が日本の歌を歌うなんてよくある話だ。幽斗は唾を飲む。

「おまえはだれだ…」
 入りは失敗だな。少し俯いてから、質問に答える。

「俺は黒澤 幽斗って言うんだ、場所は仕都ってとこから来たんだ、知ってる?」
 少女は小さく、首を横に振った。

「大まかに言うと、津美県ってとこの…」
 反応はない。あまり、自分への興味は持ってもらえなかったようだ。

「ここは、どこかわかるかな?」
「なぜ…我々は蘇ったのか…」
 その目に光はなく、ただ力なく添えられている自分の手だけを見ているようだった。

「…お前も…」
 そこまで言うと、いままで座っていた彼女が、立ち上がったのだ。不気味に、両手をこちらに向けて、まるでゾンビのように。
 状況的には、幽斗が彼女をほんの少し見上げる姿勢となった。

「こっちへこい…」
「…は、はは…あまり大人をからかうんじゃ…」
 なぜか少女は口をだらしなく開け、よだれを垂らしながらこちらへ向かってくるではないか。まるで曲がりの悪い人形のように、関節をギシギシと言わせながら。

 正気じゃない。幽斗は目の前の状況からそう察すると、踵を返して一気に走り始めた。

 だが、目を疑う光景が、自分の横を通り過ぎるのだ。

「あぁ、ああ!」
 恐怖に声を上げるには、場所も状況も完璧だった。青白い火の玉が突然、顔の真横を通り過ぎて、目の前に立ちはだかるように現れたのだ。しかもぞろぞろと、集まり始めている。

「やめろおおおおお」
 体を大きく落とし、目を瞑ってひたすらに墓地を駆ける。目の前に火の玉が見えなくなれば、足場の悪い場所を避けながら突き進んでいく。

 だだっ広い墓地だ。どこを見ても同じような景色が続いている。後ろを見ると火の玉が同じ速度で追いかけている。だけではなく、何かをこちらに飛ばしてきているように見える。

 鈍い音が、自分の足元の土を深くえぐった。

 刃物のような形状をした、鋭利な何かが、地面をえぐったのだ。幽斗もさすがに正気ではいられなくなってきた。夢ならさっさと覚めて欲しい。ただ恐怖から逃れる為に走り続けた。

 だが、先にあるのは大きな扉。禍々しい紫煙を放つ扉が先をふさいでいたのだ。事実上の行き止まりだ、袋の鼠。やり場のない怒りを込めて、扉を必死に叩くが、石の鈍い音しかしない。

「クソ、クソぉ! クソおおお!!」
 後ろを振り向くと火の玉が妖しく光っていた。
 そして、幽斗の方へと一斉に、光る刃物を放ち始めたのだった。
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超どうでもいいヤツについて

sun

Author:sun
※ちなみに左が私です。
(絵:ちり紙さん 様)

性別:太陽
属性:情報専門学生
相棒:G'zOne t-X
好物:午後の紅茶MT
流行:艦隊これくしょん

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