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Windy Fantastic Talk .3

 自分はなぜ逃げたのか。自分の体格に反して、手よりも小さな火の玉が複数、羽虫のように集まって飛んできている。火の玉は怪しく青く光りながら、輝く刃物をこちらに向けて飛ばしてくる。

 感じる殺意、それは一つ一つの大きさと釣り合わないほどに大きく、背中を濡らす冷や汗が、全身を凍らせてくる。

「あああああ!!」
 確実に向かってくる刃物は、自分の頭上を通り過ぎて石の扉に弾かれる。そして自分の体は。

『―――いらっしゃい』
「!!?」
 亀裂もなく、細く丸い穴がぽっかりと、自分の足元に開いていたのだ。真っ暗の世界が足元に。

「うぅ…!」
 いや、暗黒の世界には多数の、目だ。自分を見つめる異常な量の目が現れたのだ。混沌とした世界とは裏腹に、聞こえた少女の声に導かれて、幽斗は再び自由落下し始めた。


「―――あぁぁ」
 頭が痛い。唐突に入る光で視界はぼやけていた。綺麗な畳の上に羽毛布団が敷かれており、自分は今、そこに仰向けで倒れていた。夢、とは思いたがったが、この光景を自分は知らない。

 綺麗な和室、洒落た襖に年代を感じる桐箪笥。まるで古い時代にタイムスリップしてしまった混乱が、カルチャーショックのような気持ち悪さを与えてくる。

「家…なのか」
 さっきの光景、信じがたい光景ではあったが、鮮明に覚えている。そこは墓地と石の大きな扉、そこに比べれば心はとても落ち着ける。

 灰色の木々が暖かい陽を受けてすくすくと育ち、春には綺麗な桜が咲くであろう木々は、綺麗に規則正しく庭を彩っていた。庭に散る葉は少なく、白い石が美しい。

「あっ」
 声が聞こえた。今日はどうにも、小さな女の子の声をよく聞く。

 だがその声が聞こえた方向がどうもおかしい。幽斗はまさかと、左右を一周みてから、頭上に顔を向ける。

「お、おはようございます」
「えっ、あぁ、おはよう…ございます」
 濃い茶髪の髪が、重力に逆らわずに垂れ下がっており、人間の耳はなく、少し高いところに動物特有の、特に猫のような耳が上を向いていた。

「仮装パーティー中…?」
 頭の耳をジェスチャーで伝えながら聞くが、橙色の瞳の少女は首を横に振る。どうこの状況を説明したらいいか、迷ってるようにも見える。すると彼女は、幽斗の前に軽やかに降りて見せた。

 そこそこ高い位置から降りていたが、地を踏んだ音も非常に軽かった。

 背はとても小さい、幽斗の足からお腹ほどしか大きさがないため、見た目はまるで小学生。紅色の鮮やかなドレス、スカートの先は白いラインと、レースのかかった小洒落た服装だ。

 素晴らしい仮装だと思いたいが、尻尾は一体どこから伸びて、どうやって自然に動いているのかは説明がつかなかった。

「困ったら人に聞くって言われてるんだ」
 そう言うと、廊下を足早に去っていった。

 参ったな。自分がここを理解する前に、次々と難題が発生する状況が続いている。こういうときは甘いものを食べて、とりあえず起こったことを白い紙にぶつけるに限る。

 財布も鍵も、仕事の資料が入った鞄も、靴すらない。スーツの上着は綺麗に畳まれて布団の隣に置いてあり、土ぼこり一つ被ってなかった。

 溜め息ひとつ、ズボンに手を入れると、右手側に重厚なアイテムが、肌身離さず持ち続けていたものが手元に残っていた。

(携帯…)
 フォルムは非常に近未来的で、正面の小さな画面には現在の時間、日付、曜日、バッテリーの状態と電波の強さが、アナログ表記で表示されるハズの画面も、ただのガラスと電磁盤の飾りになっている。現代で見るガラケーと比べれば、質量も、性能も、重量もケタ違いの、一線を画した旧世代のアイテムだ。

 折りたたんであるソレを、開こうと手をかけた瞬間だ。

「お目覚め、ね」
 ハッと少女が走っていった方へと目をやると、そこには扇状に広がる長い金髪を靡かせた、後に続く二人の少女に比べても、なかなかに派手なドレスを身に纏った、これまた少女がこちらに歩み寄ってくる。

 ベースのカラーは紫か。派手に装飾されたレースが、彼女をまるでお人形のように仕立て上げているその容姿からは、威厳、のようなものも感じざるを得ない。そろそろ首が疲れる程度に、幽斗は彼女達を見下すしかなかった。

「迷える外界の人、黒澤幽斗」
 きっと、彼女がこの状況の説明をしてくれるんだ。感覚というか、直感が、幽斗の中で確たるものとなっていた。

 この、紫色のドレスの少女が、初対面の自分に―――。
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ーたんうかすせくあ


超どうでもいいヤツについて

sun

Author:sun
※ちなみに左が私です。
(絵:ちり紙さん 様)

性別:太陽
属性:情報専門学生
相棒:G'zOne t-X
好物:午後の紅茶MT
流行:艦隊これくしょん

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